STAFFコラム

フィットネスクラブの価値を上げよう Vol2

前々回と前回の記事に続いて、もっと価値と価格について考えていきましょう。

過去記事を読んでいない方は下記からどうぞ。

しかし、経営や運営側からすると、この価値と価格の考え方がうまく腹落ちしないという場合があると思います。
その根底にあるのが、価値以前に価格が変更になることに対しての抵抗感が日本には文化としてあるようです。

・いつも通ってくれている会員に負担をかけて申し訳ない
・価格が上がることで退会しないか?不安
・儲け主義と思われないか?

これまで価値をそっちのけで価格でしか考えてこなかったのに、今さら価値と言われても難しいですよね。
ですが、時代は変わって価格は利便性や必需品などには有利に働く場合が多いですが、我々が提供している身体にまつわるサービス、コミュニティ、習い事など、健康やライフスタイルに合わせたサービス及び商品は価値が重要なのです。その人にとって必要であれば許容される価格内であれば大きな問題ではないです。

そもそも価値の時代に顧客の懐を心配するのは失礼だと認識した方がよいでしょう。そもそも生活に困っていたらフィットネスクラブになんか通っていませんよね。よって、普段から価格を伝えるのではなく、価値を伝えることにシフトして慣れていってください。

物価高、原油価格高騰、人件費上昇、水光熱費増ということでも、多くの人は納得してもらえると思います。しかし、これからの時代はいくら値上げしても追いつかない状況を想定しておかないといけません。インフレ率が年2~3%で推移すれば、単純計算で5年後は約10%ほど物価が上がる計算になります。その度に外部環境を理由に値上げをお願いするよりは、価値を上げそして伝えて、価格を適正にコントロールしていくほうが良いと思います。

その価値を上げるためのポイントは、「人を軸にした価値創造」です。その上で下記の3つを実践してみましょう。

・自社の価値を全スタッフで考えて言語化する
・その価値を磨きあげる
・その先に新たな価値を創造する

ここで私の実体験をご紹介します。

前職時代になりますが、パーソナルトレーニングの売上対策時の経験です。その時、30分=3,000円のパーソナルトレーニングの売上が悪く、一部のトレーナーしか稼働していない状況でどうにか他のトレーナーの稼働を上げて売上増を図りたいと試行錯誤していました。その対策として、パーソナルトレーニングの内容を簡素化して、初心者向けのマンツーマントレーニングという名目にして、30分=1,000円で販売しました。同時に稼働がないトレーナーを集めて商品説明、セールス及び指導研修を実施しました。するとポツポツですが、稼働していなかったトレーナーの枠が埋まりはじめたのです。色々と要因を探ると、稼働していなかったトレーナー達は上記に書いた価値と価格のジレンマに陥っていたことと、稼働しているトレーナーとの実力差に自信が持てなかったことが大きな要因でした。

このマンツーマントレーニングを6ヶ月ぐらい続け、トレーナー陣と密に連携を取りながら、30分=3,000円のパーソナルトレーニングへの移行を進めていきました。稼働率がある一定ラインを超えること、リピーターが確保できていることが条件です。移行の条件をクリアした段階で、来月より担当枠をパーソナルトレーニングに変更する旨をトレーナーから直接顧客に伝え、内容の変更点とその価値、そして30分=3,000円という価格をご案内します。

その結果、多くの顧客がそのまま移行してもらえました。1,000円から3,000円と3倍の価格上昇です。

正しく人の価値を上げて価格を上昇させる、良い経験となりました。

「人を軸にした価値創造」の時代、フィットネスビジネスにおいてはおもしろい時代となってきたかもしれません。

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