新型コロナウイルス感染症分類が2類から5類に変更されて約半年が経過しました。コロナ禍が嘘だったかのように平常に戻りつつあります。そんな中、フィットネス業界各社が四半期決算を発表していますが、先週はライザップグループの決算発表(第2Q)がありましたね。多くの人に認知されてきている「chocoZAP」の動向が気になるところです。今回は決算発表に合わせて「会員数100万人突破」のリリースも一緒に出されました。ここら辺のメディア等をうまく使ったプロモーションは流石としか言いようがありません。
結果、ライザップグループ全体で売上高810億円1千2百万円(前年比+5.3%)、営業利益は▲57億9千1百万円となりました。引き続き、chocoZAPへの投資が影響しているとのことです。ですが、投資の成果もあり会員数100万人突破、1年で1,000店舗以上の出店、出店コスト軽減、退会率改善など様々な部分で効果が出ていて、今後は投資回収期間に入っていくようです。通期では第1Q~2Qの損失はそのままと下期以降赤字が膨らむことはなく、約45億円の赤字と予測しています。来期からどこまで回収していけるのか?が勝負となりますね。市場と投資家からは怪奇的なコメントが多いようです・・・私も無人店舗が定着するとは思っていない派ですが、これだけの需要を創出するのはすごいことで、ベンチマークするだけでも勉強になります。ある記事に書いてあったのですが、プロモーションバナーだけで200種類以上あるそうです。それを常にテストしていて顧客分析に活かしているとのこと、アクティブユーザーだけで会員数100万人突破をするのですから、緻密にプロモーション戦略が練られていることは間違いありません。
ライザップはFIA(フィットネス産業協会)に加盟しておらず、業界大手とは距離をおいていますし、取り組み施策などをみても全く違う手法を用いています。他ではエニタイムフィットネスを運営するFast Fitness Japanも同様です。
会員数だけで見れば、chocoZAPが100万人、エニタイムフィットネスが80万人、カーブスが77万人となっており、既存のプレイヤーと一線を画していることが分かります。でも、この3ブランドの中で直営のみで展開しているのはchocoZAPだけで、その他の2ブランドはFC(フランチャイズ)運営の割合が高く、chocoZAPが異質です。それだけ無人運営というはビジネスモデルを確立できれば、すごい武器になるということだと思います。ここまでくるとFIA(フィットネス産業協会)の存在価値が危ぶまれてくるかもしれません。
ライザップグループ決算資料のリンクを貼っておきますので、ご興味のある方はご覧ください。
00.pdf (eir-parts.net)
私の動向予想としては、このままではこれまでの多額の投資は回収できない、と思っています。ですが、今も兆しが見られていますが、フィットネス以外の付帯サービスを加えて「フィットネスもできる」みたいな戦略になり、メインサービスがフィットネスではなくなっていき、様々なサービスが低価格月会費で利用できる事業になっていくと予想しています。今後の動向に注目です。
さて、弊社がサポートに入っている企業あるいはクラブでは、直近の10月~11月にかけて入会が好調に推移しています。猛暑から涼しくなってきて、身体を動かしやすい時期になってきたのかもしれません。そういう方々に対して、一つ一つ丁寧に寄り添い、サポートしていくことが業績回復のはじめの一歩です。その成果は来年の春終わり頃に表れますので、地道に継続して取り組んでいきましょう。一方で、春終わり頃に前年比マイナスとなっているようであれば、非常に厳しい状態となりますから、日々の業績管理は細かく行い、仕掛けるのであれば12月下旬から新年1月末がおすすめです。そのためにはもう準備をしていないとダメですね。
その他の企業の決算発表概要を記しておきますので参考にしてみてください。
・カーブスは8月決算のため、決算資料を添付しておきます。
xApj.pdf (irpocket.com)
・コナミスポーツ 売上高 :237億9千9百万円(前年比+6.0%)
営業利益: 16億円(前年比+219.4%)
経済の正常化が進み、需要の高まりがみれる。そんな中、施設利用とオンラインの両方のサービスを充実させることに重点を置いた。また付帯収入として、好評であった「プロテインサーバー」の設置を拡大した。さらにコロナ禍で見送られていたスタジオイベント「REVIVAL」を全国各地で開催してイベントの掘り起こしを行った。子供向けの運動スクールでは、スイミング・体操・ダンスなどを中心に新たなに6施設開講し、映像とAIを活用して練習効果を向上させる「運動塾デジタルノート」をリリース。新規事業として、天井にミラーを設置したピラティススタジオ「Pilates Mirror(ピラティスミラー)」を新規で5店舗オープンし、合計14店舗となり、一部の店舗では入会待ちが発生して好評を得ている。学校の水泳授業委託については、学校側のニーズが高まっており、受託数の拡大が見込まれる。*決算短信より抜粋
・セントラルスポーツ 売上高 :225億9千6百万円(前年比+5.8%)
営業利益: 14億7千3百万円(前年比+172.9%)
経済の正常化と需要の高まりはコナミスポーツと同様の捉え方。「現在価値の再強化による顧客満足度の向上」に重点を置き、主に接客力及び指導力の向上と安全・安心で快適な環境を提供することを目標にする。店舗においては、上質な24時間フィットネス体験をコンセプトとした「ジム24Premium」の運営を開始。また、マシンをはじめとした設備や施設の環境整備、リニューアル工事等を進めるとともに、効率化運営、節電対策の強化、オンライン事業の拡充等を行った。子ども向け野外体験スクールについては、宿泊を伴うサマーキャンプを4年ぶりに再開することができ、イベント興行も回復に向かっている。全体の会員数は回復基調ではあるが、前年比98.8%で推移する。その他、介護予防関連サービスや法人向け健康サービスについても引き合いが増え、徐々に需要が戻りつつある。
*決算短信より抜粋
・ルネサンス 売上高 :211億5千5百万円(前年比+6.4%)
営業利益: 2億8千1百万円(前年比+191.6%)
環境の捉え方は上記2社と同様。筋力トレーニングやサウナ、猛暑によるプール需要など時期に合わせたプロモーションを強化し、新規入会者数と在籍者数が好調に推移する。全体の会員数は、前年比+8.3%となる。また、コスト上昇への対応と人材及び設備への継続的な投資を目的に価格改定を実施。介護・医療周辺事業では、リハビリ特化型デイサービス「元氣ジム」が順調に推移する。その他、企業向けのサービスや他社とのコラボサービス、自治体との連携を強化している。また、ベトナム含めて海外事業強化と資本業務提携先との相乗効果を狙う取り組みを継続して行っていく。*決算短信より抜粋
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