総合型フィットネスクラブはコロナ禍に売上・会員数ともに減少しましたが、2023年5月に感染症分類が2類から5類に変更され、回復基調に向かうかと思われました。しかし、多くのクラブで苦戦が続いています。そこで、各クラブが直面している課題と再生のポイントについて書いていきたいと思います。
・マーケットは拡大している
コロナ禍の影響で、総合型フィットネスクラブの会員数や売上が減少していますが、24時間ジムや小規模専門スタジオ、格安ジムなどの施設数は増加していってます。分かりやすい例として、皆さんがご存知の「チョコZAP」は会員数100万人を達成しており、現在もすごい勢いで出店しています。これらから分かる通り、マーケットは縮小しておらず、逆に拡大しており、選択肢として違う業態あるいはサービスが選ばれているということです。
・各部門のニーズを見直す
多くの総合型フィットネスクラブは、ジム・スタジオ・プール・温浴施設と様々な部門を有しています。昔は「全て使い放題」で月額〇〇〇〇円というセールスで会員獲得ができており、各部門もそれなりに稼働していました。
しかし、コロナ禍による会員数減少やジム・スタジオの専門店出店、そして少子高齢化・経済の不透明感などの社会情勢に伴い、利用者の行動に変化が出てきています。各部門のニーズや稼働などを改めて分析して見直すことが必要です。
例えば・・・
・今まで2つのスタジオで運営していたが、1つのスタジオに絞り、もう1つのスタジオは別のサービスに活用することを検討してみる。
・ジムやプールの各時間帯利用者数を分析して、営業時間の変更を検討してみる。
・思ったような収益を得られていないサービスは廃止する
上記は例えばの話ですが、地方クラブでは夜に利用が集中していたのが、もう午前中から夕方までの利用が中心で、夜は閑散としているパターンもありますよね?!なのに以前と同じサービス量を提供しているなんてことはないでしょうか?目的があるのであれば良いですが、何も考えずにそんな状況になっているのであれば、それは生産性が低下していることに気づいていない可能性があります。まずはクラブの会員やこれから会員になってくれるであろう顧客が求めているサービスや問題が現状のサービスとマッチしているのか?点検が必要です。
・他業界を参考に対策を検討する
業界は違えど似たような課題を持っている企業はたくさんあります。例えば、ホテル業界でいうと「グランドホテル」関係です。グランドホテルとは、宿泊やレストラン、宴会、ブライダルなど複数の部門があり、大きな箱(施設)で運営していることが特徴です。これはまさに総合型フィットネスクラブと似たようなモデルです。大きな違いと言えば、会員制ビジネスかどうかです。しかし、最近のホテルもメンバーシップに力を入れており、参考になるのではと思います。直近では、星野リゾートが各地域のグランドホテル再生に力を入れており、顧客ニーズの深掘りから選択と集中をドラスティックに行い、うまくいっているケースがあるようです。
・各部門の人員数と配置の点検
こちらが最も重要で、サービス提供する人材が適材適所に配置されて、生産性の向上をもたらす体制となっているか?各サービスの収益を見ながら分析してみると良いかもしれません。たくさんの人員を割いているのに思うように収益が上がっていない可能性がありますし、会員あるいは顧客があまり求めていないサービスに人員を配置しているパターンもあります。そうであれば、そのサービスを縮小あるいは廃止して、会員が最も求めているサービスに再配置する、もしくはもっと収益性が高いサービスに人員を配置するなどを検討できると思います。
最後になりますが、一番ダメなことはうまくいっていないことを放置することです。放置していて良くなることは滅多にありません。今まで求められていて、利用者もいるのであれば、少しの工夫で安定運営することは可能です。
今回のポイントを参考にしていただき、対策を実行してみてください。
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