STAFFコラム

フィットネスにおけるダンスカテゴリーについて

日本では、2012年から中学校保健体育の一環として、男女ともにダンスが必修化されました。 それ以前から、小学校では体育授業の一環として、「表現運動」や「リズムダンス」が必修化されていたため、子どもたちは9年間連続してダンス教育を受けることになります。私は前職で2012年の時期にフィットネスクラブへのキッズダンス導入プロジェクトを担当しました。その時の総合型フィットネスあるいはスポーツクラブのスクール部門は、「スイミング」「体操」の2本柱で運営をしており、今後の少子化を考えると3つ目の柱が必要な時期にきていました。スクールビジネスの観点から考えると、学校体育との関連性はすごく大きなもので、「ダンス」の必修化により3つ目の柱になることは間違いないと思っていましたが、浸透するまである程度の時間がかかるとも予想していました。しかし、デジタル化の追い風もあって、SNSや動画などのコンテンツ配信環境が整備されていくと急速に市場規模が膨れていきました。また、Dリーグ(ダンスのプロリーグ)の発足や各地で行われる大会が拡がりを見せたのも規模が膨らんだ大きな要因だと思います。あれから約10年が経過しましたが、現状のダンスカテゴリーを考察するとともに今後の展開を考えていきたいと思います。

まず、ダンス必修化の背景として、文部科学省では保健体育の授業を行う目標を「心と体を一体としてとらえること」としています。 そのため、自分の思いや考えを身体で表現するダンスはまさに最適だと言えるでしょう。また、新しいジャンルを取り入れることで個人に合った運動を見つけられるように、との願いも込められています。
ダンスの授業内容は、「創作」「フォーク」「現代的なリズム」の三つに分類されます。生徒たちはこれらの中から一つ選択することになっていますが、それぞれのダンスがどのようなものなのか必修化された理由と合わせて見ていきましょう。

・創作ダンス
表現力や想像力など、それぞれが持つ力を伸ばすことが目的です。 決められた振付がなく、それぞれがテーマに沿って自由に身体を使って表現するものです。
・フォークダンス
国や地域に根付いた伝統的な踊りを体験することが目的です。 国ごとに個性の違う踊りを体験することで、伝統や文化が国によって大きく異なることを知り、またそこから海外の文化や歴史に興味を持つきっかけにもなるでしょう。
現代的なリズムのダンス
全身を使ってリズム感を養い、全体的な運動能力を向上させることが目的です。 生徒たちの中で流行っている音楽を用いて、実際にアイドルやダンサーなどと同じ振り付けで踊れるように練習していくため、生徒たちの積極性も向上することが期待できます。

このように様々なダンスに触れ合うことで、自分の想いや考えを身体で表現する力を養うことを目標にしています。
よって、学校教育ではジャンルにとらわれず、多種多様な音楽、リズムそしてステップなどを通して表現することが求められています。


そんな中で、今後求められるサービスとは?他のスポーツ同様に専門的に教えてくれるダンススクールです。
学校教育では入り口として、ダンスに触れ合うことを目的に展開されます。また、先生も試行錯誤の中で指導にあたるので、語弊があるかもしれませんが「広く浅く」となるのは否めません。
そこに専門的なインストラクターと流行りのジャンルを踊れる、そして人間形成も行うことができるスクールがあれば需要が高まる可能性が高いと思われます。特にフィットネスクラブはスタジオを有しており、親和性が高いスクールとなることは間違いないです。

我々はそんなニーズを踏まえて、自社スタジオでジュニアダンスクールの開講をしたり、民間フィットネスクラブのジュニアダンススクール運営を請け負っています。ともに会員数はここ数年で右肩上がりで増え、定員が満杯になるクラスも出てきています。集客のポイントは、「インストラクターの質」です。踊りのスキルが高いことはもちろんなのですが、それより大事なのは「伝える」という能力、簡単に言うとコミュニケーションスキルです。ただ単純に踊れてもそれを伝えることができなければ生徒の技術習得は進みません。後はどんなダンススクールなのかを分かりやすくプロモーションすることです。言葉や写真だけでなく、動画で宣伝するとイメージがわきやすいです。最後に定期的なイベント計画を打ち出すことも忘れてはなりません。スタジオでの撮影会、地域イベント参加予定、ダンスコンテストへの参加予定など、日頃の練習成果を何らかしら表現できる場を提供してあげることで、モチベーション維持に役立ちます。

今後、まだまだダンスというカテゴリーは発展し、関連人口が増えていくと予想しています。純粋に表現として楽しむこともそうですが、スポーツという分野においても発展の余地があると思っています。なぜなら、どんなスポーツもリズムや足の運び、そして身体をうまく動かすという部分では共通するからです。例えば、サッカーやバスケットのドリブル、バドミントンや卓球のように足のステップと腕を同時に動かす動作などが、ダンスを通じて向上する可能性があります。現に多くのチームで「リズムトレーニング」が導入されています。こうしてダンス、ダンススクールを軸に多くのサービス展開が可能になっていくのがこれからだと思います。

フィットネスビジネスにおいて、まだ「ダンス」というカテゴリーを取り入れてない企業は、是非とも導入を検討してみてください。小さいスタジオ業態だと「音」の問題をクリアできれば、多くの波及効果が期待でき、運営の柱になるかもしれません。

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