前回に続いて「価値」と「価格」について書いていきます。
価格とは一体何なのでしょう。価格は価値に従いますので、価格を考える時には価格そのものではなく、価値を考えるとよいです。そこで価値を考える手掛かりになるのが「価値の公式」です。
価値の公式は、パフォーマンス(性能・生産性)÷コスト(費用・手間)=価値 で表すことができます。
例えば、同じ性能のパソコンがあったとして、100,000円の商品と150,000円の商品では、100,000円の商品の方が価値が高くなります。一方で、価格が一緒であれば性能が高い方が顧客にとって価値が高い商品となります。
つまり、価値を高めたければ「パフォーマンスを上げるか」もしくは「コストを下げるか」のどちらかが必要です。
昨今のフィットネスビジネス業界で多く行われている値上げ現象は、顧客にとってパフォーマンスはそのままで逆にコストを上げている施策になります。よって、公式にあてはめると価値が下がっていく施策を実行しているのです。もう少し踏み込むと利益主義に走りすぎて、人員削減からくるサービス低下、過度な消耗品削減、満足度外視の水光熱量削減などパフォーマンスも下げています。利用者からするとパフォーマンスを下げてコストを上げるという価値としては最悪な状態となっています。この状態が続くようであれば、顧客離れが加速することは間違いないでしょう。
まずやるべきことは、パフォーマンス(性能・生産性)を上げることに注力することです。そうすることで自ずと価値は上がります。例えば、顧客の「不」を解決する新しいサービスの開発、あるいは不便を解消する便利なシステムの導入、一番効果があるのは個々に合わせたコミュニケーションと喜んでいただけるサービスの提供です。
そういったことを継続的に行い、パフォーマンスを上げ続けることではじめて価格を精査することができるのです。
多くのクラブが、原油価格の高騰、人件費の高騰、物価高などを理由に価格改定を実施していますが、これの全てを否定している訳ではありません。ですが、これらは価格から計算した施策であり、現代にはそぐわない可能性があります。
これからの時代は、価値の追求を軸とした「価値創造マーケティング」が必須となってきます。顧客にとっての価値を追求そして創造することが最優先であり、その先に価格上昇がついてくるイメージです。
価格変更の理由は、外部環境だけを理由にするのではなく、価値の追求に応じてセットでリリースしていくことをおすすめします。
その価値を追求するためには、生の顧客の声を聴くこと、そして現場スタッフの声に耳を傾けることが大切です。
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